『四畳半タイムマシンブルース』を最初に読んだのは、映画化されたタイミング。
ただ、その後しばらく手に取ることはなく、今回改めて読み返したのは、夏が終わりに差しかかった頃。久しぶりにページを開いたら、やっぱり独特のギャグセンスと軽快さに引き込まれて、一気に読んでしまいました。
最初に結論を言うなら、この作品はこんな人におすすめです。
そして、本を読むのは少し億劫だという方には、映画版『四畳半タイムマシンブルース』がディズニープラスで配信中なので、映像から楽しむのも一つの方法です。
作品の概要
『四畳半タイムマシンブルース』は、森見登美彦さんの小説『四畳半神話大系』と、映画『サマータイムマシン・ブルース』の世界観を融合させたスピンオフ作品です。
舞台は真夏の京都、そしてお馴染みの四畳半下宿。
物語は、クーラーのリモコンが水没して壊れてしまう――というささいな事件から始まります。
そこに突然現れるのが、タイムマシン。
「壊れる前のリモコンを過去から持ってくればいいじゃないか」という単純な発想から、登場人物たちは未来や過去を行き来し始めます。
ただ、その行動が未来を変えてしまうかもしれないという危うさを孕み、くだらない大騒ぎとタイムパラドックスが絶妙に絡み合っていきます。
登場人物は『四畳半神話大系』でお馴染みの――
- 「私」
- 悪友・小津
- クールなヒロイン・明石さん
- 謎の先輩・樋口師匠 etc…
彼らの掛け合いは相変わらずで、大学生の日常に唐突に非日常が紛れ込んだような軽快さが魅力です。
読んで感じたこと
一番惹かれたのは、やはり「どうでもいいことに全力を注ぐ大学生たち」の姿でした。
壊れたリモコンひとつでここまで大騒ぎになるのか、と呆れながらも、その無駄な熱量こそが青春の輝きだと感じさせられます。
さらに印象に残ったのは、四畳半という狭い空間と、タイムマシンによる無限の時間の広がりとの対比。小さな部屋の中の騒動が、時間を超えることで途端に壮大に見えてくる。
それでいて本質はあくまで「大学生のくだらない日常」で、スケールの大きさと小ささのギャップが絶妙でした。
また、夏の空気感の描写も心に残ります。じっとりとした暑さ、だらけた午後、夕暮れの倦怠感。
読んでいると「そういえば夏ってこんな感覚だったな」と思い出し、夏の盛りでも終わりでも、ノスタルジックな気分にさせてくれます。
そして、何より嬉しかったのは四畳半ワールドのキャラクターたちが再び動き出すこと。
「またこの面々に会えた」という安心感に加えて、タイムマシンという新しい要素が加わることで、懐かしさと新鮮さが同時に味わえるのです。
そのバランスが心地よく、久しぶりに読み返して本当に良かったと思いました。
まとめ
『四畳半タイムマシンブルース』は、くだらなさと愛おしさが同居する青春小説でした。
夏の空気を感じたいときに読むと、ノスタルジーと笑いが同時に押し寄せる一冊です。
改めて、この本(そして映画)はこんな人におすすめです。
軽快で読みやすく、勉強や仕事の合間のリフレッシュにも最適です。
気になった方はぜひ、コーヒーを片手にページをめくってみてください。
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